労務リスクを解剖してみる

労務リスクの種類

では労務リスクとは具体的にはどういうものがあるのでしょう。出入りに関しては内定取消しや試用期間中の解雇、本採用の拒否、普通解雇や懲戒処分としての解雇、雇い止めなどが典型的な問題としてあげられます。

今特に問題となっているのは、ご存知のとおり未払い残業代や長時間労働といわれるものがあります。特に未払い残業問題は深刻化しており、かなりの頻度で裁判に発展しています。未払賃金の請求権には2年間の時効がありますから、支払判決が出るとその遡及支払額は莫大なものになってしまい、企業経営上の損失は計り知れません。

他に多く発生しやすい労務リスクとしては、休職に関するもの、三六協定の未締結や就業規則の未整備、有給休暇に関するもの、業務災害・労災認定に関するもの、情報漏えいに関するもの、労働時間制の運用に関するもの、健康診断受診義務違反に関するもの、賃金台帳やタイムカードなど法定帳簿の不備に関するもの、等々。私自身、会社勤めをしていた頃は労務リスク(狭い意味での労使トラブル)をこれでもかというほど見せつけられてきました。労使のトラブルと一口に言っても、複数の要因が重なったり、長年の悪しき?慣習の積み重ねが発端だったり様々ですので、これをすれば即解決!というような最適解がみつけられるほど簡単ではないのです。

リスクは全て悪者か?

また、逆説的ではありますが、リスクがあるからこそ会社に存在する問題点を考えたり、より良い組織作りをしていこうという士気が高まるというメリットが生まれることもよくあります。また例えになりますが、病気になって健康時のありがたさを実感するのに似ているかもしれません。その意味で、リスクは除去するものではなくて適切に管理(マネジメント)することが重要といえます。それに加えて個々人の適正な能力評価を実践してヤル気・モチベーションを喚起することで生産性の向上をもたらし、企業業績アップにつながりやすくなるのです。

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