社労士業務は少しづつ拡大してきた

 前項までに挙げた社労士業務はスタンダードかつ重要な仕事ばかりです。しかし将来的にはもっと業界としての職域を拡大していかなければならない状況にあることは間違いありません。

 もともと社労士の業務は書類の作成と届出手続のみから始まりました。
その後私たちの先輩方の尽力により数回の社会保険労務士法の改正を受けて、労働関係法令の成立に合わせる形でその業務が少しづつ拡大してきたという沿革があります。
 
 最近の改正では「紛争解決手続代理業務資格」の獲得が特に代表的な業務拡大トピックスです。
これはここ数年著しく増加してきている労使間のトラブルに対処するため、裁判によらずに個別労働関係の円満な紛争解決を図る目的で「特定社会保険労務士」という資格を取得した社労士が行える業務のことを指します。
 
 実際にはこの裁判によらない「紛争解決手続代理業務」は一般的にまだまだ認知度が低く、制度として十分活用されているとは言い難いのですが、今後労使トラブルの増加が益々多くなればその需要が高まることが予想されます。

 またこれは業界の目標でもあるのですが、「簡易裁判所における労働問題における代理権獲得」というものも新たな業務拡大分野として挙げられます。
前述の「紛争解決手続代理業務」が裁判によらないで労働紛争の解決を図るものであるのに対して、この簡易裁判所の代理権は、文字通り裁判による労働紛争解決のための代理人になって訴訟に携わる業務のことです。

 ここでは詳細は省きますが、現在業界が簡易裁判所の代理権獲得に向けた法改正実現のために動いている状況です。ただ簡易裁判所の代理権獲得のためには様々な壁があって、すぐ実現できるというわけではないですが、近い将来、裁判において社労士が法律家としての一面を見せる日が来るかもしれません。

 他には「経営労務監査」と呼ばれる業務が注目されています。
ここでは細かい内容に立入らず、大雑把に言いますと、企業の労務管理全般に関して適正であるかを労務管理の専門家としての立場からチェックしたり、人事管理の観点から人材の全般的な有効性を評価したりするものです。
公認会計士は企業の会計の監査をしますが、その人事労務版と考えて頂けたらわかりやすいでしょう。

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